FIT制度の誕生から現在まで
固定価格買取制度(FIT)の概要
固定価格買取制度(Feed-in Tariff:FIT)は、再生可能エネルギーの普及促進を目的に 2012年7月 にスタートした制度です。
太陽光発電で作った電力を、一定期間・一定価格で電力会社が買い取ることを国が義務付ける制度で、住宅用(10kW未満)は 10年間の固定価格買取 が保証されます。
この制度の開始により、家庭への太陽光発電の普及が急激に進みました。
2012年の設置件数は約20万件でしたが、2025年には累計 700万件超 に達しています。
売電価格の推移グラフ
| 年度 | 住宅用売電価格(10kW未満) |
|---|---|
| 2012年 | 42円/kWh |
| 2014年 | 37円/kWh |
| 2016年 | 31円/kWh |
| 2018年 | 26円/kWh |
| 2020年 | 21円/kWh |
| 2022年 | 17円/kWh |
| 2024年 | 16円/kWh |
| 2025年 | 16円/kWh(2025年度) |
わずか13年間で売電価格が42円から16円へと62%も低下。
これはパネルの製造コスト低下・普及拡大に伴い、補助的な割増価格の必要性が低下したためです。
衝撃の下落:2012年に 42円/kWh だった売電価格が、わずか13年で 16円/kWh まで 62%も下落。
パネル製造コストの低下と普及拡大が主因です。
FIT終了後の「卒FIT」問題
2019年問題と卒FITの現実
2012年11月〜2013年3月に設置したユーザーは、2022年〜2023年にFIT期間(10年)が満了し、「卒FIT」状態になりました。
FIT終了後の選択肢:
- 電力会社に売電継続:単価が大幅に低下(8〜10円/kWhが相場)
- 蓄電池を設置して自家消費に切り替え:電気代削減に活用
- EV(電気自動車)と連携:EVを「走る蓄電池」として活用
- VPP(仮想発電所)サービスに参加:ポイント還元型の売電サービス
卒FIT後は「売電より自家消費」の方が経済的に有利な状況になります。
電気代単価(31円/kWh)と卒FIT後の売電価格(8〜10円/kWh)の差が大きいためです。
FIP制度への移行
FIT→FIPとは何が変わるか
2022年から導入されたFIP制度(Feed-in Premium)は、FITとは異なる補助方式です。
FITとFIPの違い:
| 項目 | FIT | FIP |
|---|---|---|
| 買取方式 | 固定価格で電力会社が買取 | 市場価格+プレミアム価格 |
| 対象 | 10kW未満(住宅用)はFIT継続 | 主に50kW以上の大規模太陽光 |
| 収益の安定性 | 安定(市場変動の影響なし) | 不安定(市場価格に連動) |
| 目的 | 普及促進 | 市場統合・電力系統の安定化 |
現在、住宅用(10kW未満)はFITが継続適用されます。
FIPは主に産業用・大規模システムが対象です。
今後の売電価格予測
2030年には10円/kWh台へ。
売電収入に依存する時代は終わり、「自家消費最大化」が唯一の勝ち筋です。
専門機関の予測
複数のエネルギー系調査機関の予測では、住宅用太陽光の売電価格(FIT)は以下のように推移するとされています:
- 2026年度:14〜15円/kWh(見込み)
- 2028年度:12〜13円/kWh(見込み)
- 2030年度:10〜11円/kWh(見込み)
2030年代には、FIT制度そのものが廃止または大幅縮小される可能性も指摘されています。
電気代の動向も重要
売電価格低下と並行して、電気代の上昇も継続しています。
- 2020年の電気代単価:約26〜28円/kWh
- 2025年の電気代単価:約31〜34円/kWh
- 2030年の電気代単価予測:約35〜40円/kWh(専門機関予測)
つまり、「売電価格が下がる一方、電気代が上がる」という状況が続くため、自家消費率を高めることが年々有利になっています。
自家消費型への移行が最適解
なぜ自家消費重視が正解か
現在の経済合理性を整理すると:
- 電気代単価:31円/kWh
- FIT売電価格:16円/kWh
- 差額:15円/kWh(自家消費の方が1kWhあたり15円有利)
売電するより自分で使った方が2倍近くお得です。
この差は今後さらに拡大する見通しです。
自家消費の経済的優位性:電気代単価 31円/kWh vs 売電価格 16円/kWh。
自家消費1kWhあたり 15円お得。
この差は今後さらに拡大します。
自家消費率を高める3つの方法
方法1:蓄電池の設置
昼間に発電した余剰電力を蓄電し、夕方〜夜間に使用。
自家消費率を40%から70%以上に改善。
方法2:エコキュートの昼間運転
エコキュートの運転時刻を昼間(10時〜15時)に設定。
発電ピーク時の余剰電力を給湯に活用。
追加費用なしで自家消費率を5〜10%向上。
方法3:EV(電気自動車)との連携
EVを「走る蓄電池」として活用。
V2H(Vehicle to Home)システムを使えば、EV→家への電力供給も可能で、大容量のモバイルバッテリーとして機能します。
蓄電池との組み合わせが最も効果的
太陽光+蓄電池の収益シミュレーション比較
太陽光のみ(5.5kW)の場合:
- 自家消費率:約40%
- 年間電気代削減:約8万円
- 年間売電収入:約7万円
- 合計年間収益:約15万円
太陽光(5.5kW)+蓄電池(9.8kWh)の場合:
- 自家消費率:約75%
- 年間電気代削減:約14万円
- 年間売電収入:約2.5万円
- 合計年間収益:約16.5万円
蓄電池の追加費用(約100〜130万円)に対して年間1.5万円の増分収益では、追加投資の回収は70年以上かかります。
ただし、蓄電池の真の価値は「停電時のバックアップ」と「将来の売電価格低下リスクへのヘッジ」にあります。
高知県の太陽光発電ユーザーが今すべきこと
既存ユーザーへの提言
FIT期間中の方:売電優先の運用が経済的に合理的ですが、卒FIT後を見越した蓄電池導入計画を立てておくことをおすすめします。
卒FIT済みの方:蓄電池導入が最優先の検討事項です。
補助金を活用して今すぐ自家消費型に移行することで、電気代を大幅に削減できます。
新規設置を検討中の方:最初から「自家消費最大化型」で設計することが最も経済的です。
売電価格が高かった時代の設計思想(大容量パネル+売電重視)は現在では最適ではありません。
まとめ:売電依存から自家消費型への転換が時代の流れ
FIT制度の売電価格は今後も低下が続く見通しです。
一方で電気代は上昇傾向が続いており、自家消費の経済的優位性は年々高まります。
未来への提言:売電に頼る時代は終わりました。
蓄電池・エコキュート・EVとの連携による「エネルギー地産地消」こそが、これからの太陽光発電の正しい活用法です。
太陽光発電の価値を最大化するためには、蓄電池・エコキュート・EVとの連携による「エネルギー地産地消」を目指すことが時代の流れです。
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